診断、治療に対する理想と現実
皆さんある日突然体に不調があれば病院を受診しますよね。できればすぐに診断をつけてもらい、すぐによくなるように治療してもらいたいと思います。誰でもそうだと思います。しかし医者側から考えると現実的にそうはいかない場合もあるわけです。診断、治療には時間がかかる場合があるわけです。二つ例を挙げましょう。一つは女性で4カ月ぐらい咳が止まらず、風邪を引いてさらに悪化し受診された方。前医で気管支喘息と診断され、吸入薬で経過を見ていました。症状からすると診断は妥当であったと判断しますが今回感冒を契機に悪化したことからアレルギーのお薬を処方し経過を見ていました。この方は発熱はありませんでした。1週間して来院されたときは若干の改善があったため処方を継続しましたが、さらに1週間後来院されたときは咳が悪化したと訴えました。
その時点でレントゲンをとりしましたが異常はありませんでした。そのため別の薬に変えて経過を見ましたが改善せず。その時に初めてはじけ感染性咳嗽と診断し、血液検査を行いました。結果は若干の炎症反応はありました。しかし典型的な肺炎でがないと判断したため最終診断はマイコプラズマ気管支炎として抗生剤を投与したところ咳は改善し現在は吸入薬も使用しない状態で経過しております。二つ目は高齢の女性。2,3年前から体の節々がいたく寝返りがうてない状態でした。前医では年のせいでしょうと言われ経過観察されましたが我慢できず来院。
血液検査の結果はリウマチの可能性は低かったが炎症反応が高い。診察の結果リウマチ性多発筋痛症と診断しステロイドを投与したところ、みるみるうちに痛みが改善し、炎症反応がも消失しました。以上の症例はいずれもうまくいった例です。私が名医といっているわけではなく、診断に、治療には時間がかかるということを言いたいのです。もちろん命に関わる疾患は一発診断が絶対ですが、慢性的な症状に関しては経過を見ないとわからないことがあります。どうか結果を急がず。私も全力をもって診察していきたいと思います。以上理想と現実でした。